持ち運べるタイプの金庫って必要ですか?

理屈っぽいと言われるかもしれないけれど、私は自分が納得しないことにはとことん追求してしまいたくなるタチである。先日も大学生になる息子が「今日ドイゴがあるからメンドクセー」と言ったので、「ドイゴって何?」と聞いた。すると、「ドイゴってドイツ語のことだよ」とのこと。ドイツ語をドイゴ?そんなもん、略す必要があるのか?ツくらい言うたれや、と思った私は、「ドイツ語ってちゃんと言えば?」と息子に言った。息子が「は?」と聞いてきたので、「抜かされてるツがかわいそうだよ」と言うと、「は?意味わかんねー」と言って自分の部屋に逃亡してしまった。どうやらドイゴよりもハハの方がメンドクサイと思ったようだ。

こんな風に、私は人から見たらどうでもいいと思えるところがひっかかり、いちゃもんをつけてしまう癖がある。

先日もそうだ。よく遊びに行く友人の家を訪れると、それまではなかった金庫がリビングの棚に置いてあった。小ぶりなサイズで、丸みを帯びていて、ピンク色の持ち運べるタイプの金庫だ。私はてっきり飾りとして置いてあるのかと思ったら、その中に通帳や印鑑などの貴重品が入っていると聞いて驚いた。こんな小さな金庫、空き巣に入られたら簡単に持って行かれてしまって何の効力もないじゃないの。しかもこんなに目立つ金庫に入れて目立つ場所に置くなんて、まるで「どうぞ、うちの財産を持って行ってください」と言っているようなものじゃない。それを指摘すると、友人は急に不安そうな顔になり、「やっぱりどこかにしまっておいた方がいいかしらと言いだした。私はその後よせばいいのに、もちろんよ、だいたい持ち運べるタイプの金庫って必要ある?と思っていることをまくし立てた。友人の顔が曇っていくのもわかったけれど、口は止まらなかった。

帰り道、余計なことを言いすぎたかしら、と心配になった。案の定、というべきか、それ以来彼女からの誘いは受けていない。